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日韓関係揺らす文氏の建国史観 [大嫌い]

凄いね関係の歪(ゆが)みの多くは、冷戦史と韓国建国史の格差から生じる。日韓基本条約は、日本統治を「合法」とする日本とそれを「不法」とする韓国が、各々(おのおの)の主張を盛り込んだと読める文言を入れることでまとまった。それに伴い日本から注がれた経済協力の前提は請求権の放棄であったが、よしんば個人請求権が消滅していないとしても、それに基づく補償は日本が負うものではない。

 過日の、いわゆる「徴用工」判決にある「損害賠償請求権」は、個人請求権を日本に向けて発動する根拠を、日本統治が「不法」であり、日本企業による「徴用」がこれに「直結」していたことに求めている。これは建国史から戦後日韓関係の歪みを正そうとする司法の判断に他ならない。

 ≪一端が示された光復節演説≫

 今次の判決は、保守派の李明博政権期の大法院(最高裁)差し戻し判決から想定される内容となっており、進歩派・文在寅政権だから下されたものとはいえない。にもかかわらず、日本統治を「不法」とみなす建国史観は、文在寅大統領に属人的であることは指摘しておかなければならない。

 些(いささ)か旧聞に属するが、その建国史観の一端が示されたのは昨年の光復節演説であった。ここで文在寅氏は「光復は与えられたものではありませんでした」とした上で、1919年の「3・1独立運動」を機に「樹立」されたとする「大韓民国臨時政府」が大韓民国建国の理念となったと述べた。大韓民国の建国を臨時政府が「樹立」されたとする19年とするか、解放後3年の米軍政を経た48年とするか-19年を大韓民国建国とすれば日本統治は「不法」となる。

 これについて「慰安婦問題」で日本を追及した朴槿恵氏でさえ、2015年の光復節演説で「光復70年、建国67年」とし、19年を大韓民国建国として日本統治を「不法」とすることで日韓関係の基盤が揺らぐことには慎重だった。これに対して文在寅氏は、2018年8月15日を「政府樹立70周年」としつつも、「2019年は大韓民国の建国と、臨時政府樹立100周年となる年」とした上で、日本統治期の「強制動員の苦痛が続いています」と述べていた。

 ≪米軍政統治も「不法」なのか≫

 しかし、「大韓民国臨時政府」が、連合国に正統な亡命政府と認められたことはない。連合国による戦後朝鮮構想で、日本の敗戦による解放後、即座に朝鮮人による自治を認めるものはなかった。

 だからこそ解放後、朝鮮は戦後処理の文脈に置かれ、独立まで連合国による占領行政が敷かれた。解放後、簇生(そうせい)した即時独立を叫ぶ団体に対して、初代米軍政庁長官アーノルドも「南朝鮮で唯一機能する政府は米軍政庁だけである」と断言した。大韓民国が1919年に「樹立」されたとし、日本による統治が「不法」とするなら、解放後の米軍政による統治も「不法」ということになる。

 米軍政期、済州島の島民蜂起を国防警備隊、右派青年組織などが鎮圧し、3万の犠牲者を生んだともいわれる「4・3事件」には米軍政当局の関与が指摘される。

 去る4月、事件の追悼式に臨んだ文在寅氏は、金大中氏が着手した「4・3真相糾明特別法」に触れ、それを推進することを誓った。日本統治を「不法」とする文在寅氏が「4・3事件」の真相を追及し、「不法な」米軍政に直結していることに辿(たど)り着いたとき、それにどう向かおうとするのか。

 ≪現代史の読み替えに他ならぬ≫

 95年、金泳三大統領は、盧泰愚前大統領の収賄容疑が浮上したさい、「5・18特別法」を制定した。金泳三氏は光州事件から「粛軍クーデター」を経て全斗煥政権の発足に至る関係者を司法的に処罰しようとし、盧泰愚氏のみならず全斗煥氏の逮捕に踏み切った。関係者を「成功したクーデターは統治行為」として不起訴処分とした司法の判断にもかかわらず成立した「5・18特別法」には、遡及(そきゅう)立法の疑いが指摘された。金泳三氏が主導したこの「歴史の立て直し」は、民主化後、韓国司法の独立が疑われた最初の例であった。

 今次の「徴用工」判決もまた、保守政権から連続してはいるとはいえ、日本統治が「不法」であったことを示唆する文在寅氏との相乗作用から下されたとみてよい。「歴史を失うことは根を失うことです」-これも昨年の光復節での文在寅氏の発言だが、民族の「歴史」の「根」を探り、それを日韓関係に投影しようとすれば、韓国の対日外交は遡及していく他ない。それは日韓国交正常化を遡(さかのぼ)る米軍政期の解釈にも波及しうる。

 外交は時に、民族主義も犠牲にする。米軍政期を経たからこそ、国土は分断されながらも韓国は「自由」たりえた。日韓基本条約が日本統治を「合法」と読める文言を含んでいたとしても、日韓国交正常化があったからこそ、韓国は北朝鮮との「体制間競争」に勝つことができた。外交に遡及的に建国史観を持ち込むことは、韓国に自由と繁栄をもたらした現代史を読み替えることに他ならない。(くらた ひでや)https://special.sankei.com/f/seiron/article/20181218/0001.html?_ga=2.165390783.1829802718.1544589999-1564501046.1544589999
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